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長距離補正DFTの良い一面

DFT計算では反応障壁を低く見積もったり、系が大きくなるにつれて反応熱の見積もり誤差が大きくなるなどのいくつかの問題が指摘されていて、世の理論化学者たちはその解決に躍起になっているようです。
GAMESSには、そのような問題(の一部)を解決できるような補正法が搭載されています。東大の平尾研で開発されたLC(長距離相互作用補正)DFTで、現在のところGAMESSではBOP,BLYPについてLC補正を加えることができます(キーワード: LCBOP, LCBLYP. BVWNにもLCを加えられるが、$DFTでLC=.T.を指定する必要あり)。

LCによりどんな効果があるのか、それは平尾先生らの発表でも明らかではありますが、自分で計算してみないと気がすまないのが私なので、昨年発表されたMichael付加反応の反応熱に関する論文(OL, 2007, 9, 4279-4282. DOI:10.1021/ol701872z)のFigure 2をネタに、LC-BOPとBOPの比較をしてみました。計算時間の都合上、基底関数はDZVP(DFT orbital)を用いています。

ol701872z_plus.jpg

参考に、文献のSupporting InfoよりSCS-MP2/cc-pVTZ(本系でのG3MP2B3との最大絶対誤差が1-2 kcal/mol)の値を引用してグラフ化してあります。
結果は一目瞭然で、元文献に記載のB3LYPの結果とほぼ同じ挙動を示すBOPに対して、LC-BOPはSCS-MP2に非常に近いグラフとなっていて、トータルの反応熱も大きく改善されています。

ちなみに、LC-BOPの計算はBOPに比べておよそ1.3倍の計算時間がかかります(一点計算での比較)。
また、LCで何でも解決できる、というわけではないので注意が必要ですね。

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