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「可視化」の威力と怖さ

MO計算データの可視化ソフトは、計算を利用するものにとって大変有り難い存在です。何しろ、元となる計算の出力データは数字の羅列で、直感的に理解しにくいものです。それを目で見て分かる形に変換してくれるのですから、説得力も増しますし、計算自体の魅力も増すのだと思います。

しかし、この「可視化」というものはその威力の反面、ブラックボックス的に使っていると痛い目にあうことになりかねません。
下の画像を見てください。これはPC GAMESSで計算したメタノールとエチレンのESP(静電ポテンシャル)を等電子密度面にマッピングした画像です(Winmostarで作成しました)。
ESPmapping1.jpg

これを見ると、エチレンとメタノールは同じぐらい分極しているように見えますね。

しかし、よく図を見てみると、この色分けにおける最小値と最大値が双方で異なることに気づきます。「ん?おかしくない??」と思った人は正しい感覚の持ち主。実際には、同じスケールで見る必要があります。今度は同じスケールで比較した画像を前の画像と並べて示します。
ESPmapping2.jpg

どうでしょう。特に水素原子のδ+性が、メタノールとエチレンでは異なることがお分かりいただけると思います(これがOH…X型水素結合の強さの原因です)。逆に、メタノールの酸素原子のlone pairとエチレンのπ電子は、水素原子の場合ほど違いがないようにも見えます。

この例は、有機化学者としての直感を有していれば容易に看破できるレベルの話です。とりあえず最初に出てくる可視化データを鵜呑みにするのではなく、どうやって可視化されたのかをつぶさに見ていくことが正しい結果解釈につながるのでしょう。
(あ、うちのサイトでもその原則に照らして修正する必要のある記述が…!?)

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