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続々・S-O相互作用の計算に必要なモデル化学とは。

分子内でも、何とか純粋なS-O相互作用の寄与がどれほどかを推定する手段が無いものでしょうか。Royらは、ホモデスミック反応やオルト-パラ法でSeとO及びSの相互作用の計算を行っています(JPC.A, 2006, 110, 5942-5947.)。このアプローチもありですが、完全にSe-X相互作用のみを切り出すことはできません。

実際問題、通常のエネルギー比較法ではS-O相互作用を純粋に切り出すのは不可能だと思いますが、それなりに見れそうな例として、チオフェン-2-カルバルデヒドの配座間エネルギー差を考えてみました。

s-trans配座とs-cis配座の間の差は、S-O相互作用以外の差はあまり大きく無さそうに見えます(実際にはチオフェン環上の水素とカルボニル酸素の相互作用があるでしょう)。これらのエネルギー差が、この形でのS-O相互作用のエネルギーに近いと考えるのですがどうでしょう。MP2/cc-pVDZでの計算結果(全電子エネルギー)は以下の通りです。
thiophene_CHO.jpg

中央は、ホルミル基とチオフェン環が直交した構造で、これとs-transの構造(右)とのエネルギー差がほぼπ共役による安定化と考えられます。S-O相互作用(と思しき値)は1.1 kcal/mol。結構弱いです。前々回に書いた、チオフェンとホルムアルデヒドの分子間S-O相互作用(と思しき値)が3kcal/mol程度(ただしこちらはcc基底ではないですが)だったのを考えると、向きが悪いので弱くなっているとも考えられますね。

(7/17追加)
向きが悪いというなら…というわけで、7-ホルミルベンゾチアゾールのsyn/antiで比較してみました。
bt-7-CHO.jpg
予想通り、安定化は2.73 kcal/molと大幅に増加。単に角度だけではなく、S-O距離も関係していると思います(チオフェンではS-Oは3.08Å、ベンゾチアゾールでは2.90Å)。

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