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S-O相互作用の計算に必要なモデル化学とは。

数日前に、S-O相互作用が気になっていると書きました。有機化学者の直感では、非共有電子対が接近することになるので、どう考えても相互作用は無さそうな気もしますし、SとOは親和性があるともいいますので何かあるかもしれないとも思ってしまいます。

計算のターゲットとしては面白いですね。国内では徳島大学の長尾研がやっていますし、A. Greerらの論文(JOC, 2000, 65, 4883-4887.)もあります。でも、分子内で相互作用を追うと、強制的に接近できる(しかも共役の効果があればなおさら)ので、S-O相互作用の本質をつかむのは難しいかもしれません。

S-O相互作用があって、且つ分子間であるようなX線結晶構造があれば、非常にありがたいのですがそうそう都合よく見つかるわけでもなく、ひとまずチオフェンとホルムアルデヒドという「最も単純」な分子間モデルで相互作用について見ることにしました。

前回の投稿で、Ar-Ar相互作用のような分散力メインの相互作用ではB3LYPが破綻し、PW91PW91やMP2である程度再現できるという事実を再検したわけですが、ここでもこれら3つのモデル化学を用いて計算を行いました。基底系を6-31G(d)から6-311+G(d)まで4段階で振り、その変化をグラフ化してます。本当は(d)→(2df)とかも結構変るんですが、ここでは割愛します。cc基底も一部計算していますが、まだまとまっていないのと、やはりMP2でパラレルできないのがつらいので…

ちなみに、MP2/6-311G(d)での最適化構造はこちら↓(Chemscape Chimeでどぞー)

S-O結合距離の変化のグラフはこちら↓
s-o_interaction.jpg

相互作用エネルギーの変化のグラフはこちら↓
s-o_interaction2.jpg

結合距離はMP2でよく収斂していて、およそ3.255Åぐらいです。B3LYPはだいぶ長いところで振動しつつ収斂傾向で、PW91PW91は振動しつつもMP2に近いところで収斂傾向です。何となく、Ar-Arの計算を彷彿とさせるのですが…
エネルギーについては、diffuseある系とない系で基底を拡大すると低下する傾向にあります。MP2/6-311+G(d)は構造がちょっと変わっていて(チオフェンとホルムアルデヒドが少しねじれている)、最安定では無さそう(未検証)。何にせよ、エネルギーはもっと上のレベルが必要ですね。まぁ、このレベルのモデル化学では、大概構造はよくてもエネルギーはだめなことが多いですけども。

傾向を見る限り、B3LYPはこの相互作用の計算には思わしくないような気がしますが…CCSD(T)ぐらいの計算と比較しないと何とも言えませんね。本当はCCSD(T)で計算したいんですが、GAMESSではSingle Pointしかできないので…Surfaceで疑似的に計算するか…

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