まだWindows 向けバイナリのアナウンスはありませんが、自前でコンパイルして使ってみました。cygwin上でg77とgfotrran(別途導入)を使って2種類のバイナリを作ってます。TINKERのモジュールも組み込み済み。
さて、パフォーマンスですが、同じg77でコンパイルした2007/03/24(R6)に比べて若干低速化した模様。DFT Gradientの計算では10%近く計算時間が延びるケースも。gfortranでコンパイルするとかなり挽回できます。
《2,2'-Biphenyl, B3LYP1/cc-pVDZ Gradient》
○GAMESS 2008/04/11(R1)
g77 : 353.9 sec
gfortran : 338.2 sec
○GAMESS 2007/03/24(R1)
g77 : 325.3 sec
ただ、なぜか理由が私にはわからないのですが、gfortranでコンパイルしたバイナリはDDIまわりに問題があるらしく、MP2のようにMEMDDIを要求される計算は軒並みアウト。2007/03/24(R6)でも、WinGAMESSとして配布されているバイナリではMP2の並列計算ができないことがあり(これもgfortranでコンパイルされている)、自分でg77でコンパイルし直したら動いたことがありました。
新たに追加された汎関数・M05/06系は、計算時間がB3LYPよりもかかるようで、上記の例では、M05で1.6倍以上の時間が費やされました。
B3LYP1 : 353.9 sec (gfortran : 338.2 sec)
M05 : 582.8 sec
M06 : 574.1 sec
M06-2X : 491.7 sec (gfortran : 469.7 sec)
ROHFを参照とする結合クラスター理論計算も可能になっていますが、こちらはまだ並列化されていません。しかしながら、ラジカル系のより精度の高い計算が可能になったと言えるでしょう。水分子のO-Hの結合エネルギーをCR-CCSD(T)/aug-cc-pVTZで計算したところ、453.6 kJ/mol (実測 463 kJ/mol)という結果が得られました(誤差 -2%)。ちなみにUMP2/cc-pVDZでは413.7 kJ/mol、CR-CCSD(T)/cc-pVTZでは444.7 kJ/molでした。
並列化されていないことやFile I/Oの時間が長いことなどで、CR-CCSD(T)/aug-cc-pVTZのエネルギー計算は30分かかりました(cpu timeは12分程度)。
※これらの計算は、Core 2 Quad Q9300 (2.5 GHz 定格)で実施しました。